テーブルワインとは、EUのワイン法で、指定産地優良ワイン、いわゆるクォリティワインに対し、産地名がないか、あってもごく大まかな地名がついているだけの、日常消費用に作られたワイン、または、食前酒として飲まれる強化ワインやアロマタイズドワイン、デザートワインとして飲まれる甘口の白ワインに対して、主菜と一緒に飲まれる食中酒の役割を果たす辛口または半辛口のワインを指します。
EUでは、加盟国ごとに独自に制定されていたワイン法を統合する形でガイドラインが設けられ、また、優良産地名が保護され、それにふさわしい統制のもとに作られたスーペリアー・クォリティ・ワインと、国名だけまたは大まかな地域名が表示され、規制が緩いテーブルワインの二つのカテゴリーに分類し、そのなかに独自の等級を設けるよう設定されています。
一般的には、日常消費用ワイン、いわゆるデイリーワインと呼ばれる、日本国内で数百円から千数百円くらいで購入できる安価なワインですが、イタリアなどでは、規制が緩いことを逆手にとって、1本1万円から2万円もする超高級ワインも作られているようです。
EUのテーブルワイン
フランスのテーブルワイン
フランスでは、地方名や県名のついたヴァン・ド・ペイ(VdP)とヴァン・ド・ターブル(VdT)がテーブルワインとしてカテゴライズされています。
VdPの指定を受けている県は、フランスの県の半分ほどとされていますが、7割近くはラングドック=ルシヨン地域圏のものとなり、近年はセパージュワインを名乗るものも多く、ボルドーワインなどのAOC並みの品質があると評価されるものも出てきています。
VdTは産地名が全く表記されないワインで、価格は1500円くらいまでのものが多いですが、優良ネゴシアンのワインのテーブルワインは、少なくとも価格相応以上の品質のものが多く、日本で比較的よく売られている銘柄にピア・ドールというワインがありますが、これもVdTとなります。
ドイツのテーブルワイン
ドイツのテーブルワインには、ラントヴァイン(Landwein)とターフェルヴァイン(Tafelwein)があります。
ラントヴァインはフランスのVdPに相当する「地酒」ですが、ほかのドイツワインの大半が甘口に作られているのに対し、これはほとんどが辛口に仕上げられています。現在19の指定産地がありますが、生産量が少なく、また、地元での需要が多いため、1980年代には日本でも比較的よく見かけたが、現在は全くといいほど見かけません。
ターフェルヴァインには、ドイツ国内で生産されたブドウだけで作られるドイッチャー・ターフェルヴァイン(Deutscher Tafelwein)と、イタリアなどEU諸国から輸入したブドウ果汁をドイツで醸造して作られるEUターフェルヴァインがあり、後者は一見、純ドイツワインの様に見えるが細かくラベルを観察すると内容を明記しているものがあります。これらは日本でも安価なものにたまに見かけることがあります。
イタリアのテーブルワイン
イタリアのワイン法でテーブルワインに当たるのは、インディカツィオーネ・ジェオグラフィカ・ティピカ(IGT)ワインとヴィーノ・ダ・ターヴォラ(VdT)です。
前者はフランスのヴァン・ド・ペイに相当するもので、産地名やヴィンテージの表示ができ、DOCやDOCGワインが伝統的なイタリア産のぶどう品種を使用しているのに対し、IGTワインには、カベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネなど、フランスの品種を使ったものも多く、いわゆる「はずれ」がないかわり、まださほど優れたものもあまりないとされています。
VdTは現在の所、まさに玉石混淆といって良い。スーペル・トスカーナなど、DOCGよりも高価で希少品扱いされるものから、かなりいい加減なものまで混じっています。書物などで評価を確かめて買うのがいいですが、なるべく信頼できるショップで購入する方がいいでしょう。
英:Tabel wine
仏:Vin de Table