英:late harvest wine
仏:vendange tartive
遅摘みワインとは、葡萄の収穫をあえて見送り、そのまま葡萄の水分が蒸発するのを待ち、干しブドウ化した葡萄、つまり遅摘みした葡萄から造ったワインのことです。
遅摘みした葡萄は糖度があがっているのでワインも甘口に仕上がります。
同じく干しブドウを使ったワインには貴腐ワインや藁ワインというものがあり、藁ワインは樹上で乾燥させるのではなく収穫したブドウを藁の上に並べて乾燥させ干しブドウ化させます。
貴腐ワインはボトリティス・シネレア菌により自然と干しブドウ化するので、水分を蒸発させる必要はありません。
しかし、ボトリティス・シネレア菌によって干しブドウ化させた際は独特の風味がつきますが、遅摘みワインにはありません。
有名な遅摘みワイン
遅摘みワインはフランス南西地方やドイツのアウスレーゼの他、世界各地で盛んに製造されています。
フランスではガロンヌ河、ドルドーニュ河の上流にあたるベルジュラック地方の一部の地区で造られており、干しブドウの状態になってから摘み取るために、傾斜のある斜面で陽光の恩恵を受ける畑が理想的です。
この地域のAOCソーシニャック地区では地形と晩秋の午後の陽光を活かして甘口のモワルー、ごく甘口のリコルーと呼ばれる甘口白ワインを生産しています。
また、ドイツのシュペトレーゼ、アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼなども遅摘みワインにあたりますが、ドイツのアウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼの場合はボトリシス・シネレア菌の助けを借りて糖度を上げていることが多く、この意味で純粋な遅摘みワインとは言い切れない場合があります。実際、良いアウスレーゼで貴腐香を感じることがあるのはこのためです。