英:natural sweet wine
仏:vin doux naturel
ヴァン・ドゥー・ナチュレル(V.D.N)とは、フランスで造られた天然の甘口酒精強化ワインのことです。
発酵途中のブドウ果汁にグレープ・スピリッツ(葡萄の蒸留酒)を加え発酵を止め、果汁に含まれていた糖分が残留し甘口となります。
その後、樽・瓶で熟成させます。熟成期間は通常2~3年。長いものは10年以上。多くの場合、熟成期間が長いほどなめらかで深い味わいになります。若いものは、舌にざらつきが残り粒子が粗く溶け込んでいない印象がありますが、古いものでは粒子がまるく、完全に溶け込んでいます。VDNは使用する品種によって大きく2つに大別され、ひとつは芳香に富むミュスカデ種を使うもの、そしてもうひとつはアルコール分が強くフルーティなグルナッシュ種を使うものがあります。
フランス国内では南部を中心にして生産されており、有名なものにルーション地方のバニュルスやリヴザルト、ローヌ地方のミュスカ・ド・ボーム・ヴニーズがあります。日本では酒税法上は甘味果実酒に分類されます。
また、発酵途中にブランデーを加えるこのV.D.Nに対して、まだ発酵させていないぶどう果汁にアルコールを加えて作るものにヴァン・ド・リクール(V.D.L)があります。