英:port
仏:porto
ポートワイン、またはポルトワインとは、ポルトガル北部ポルト港から出荷される世界三大酒精強化ワインの一つで、ポルトワインとも呼ばれています。
ポートワインは、まだ糖分が残っている発酵途中にアルコール度数77度のブランデーを加えて酵母の働きを止めて造られており、この製法によって独特の甘みとコクが生まれます。
ポートワインには赤ワインと白ワインがあり、赤は美しいルビー色をしているため、「ポルトガルの宝石」とも呼ばれています。
また、アルコール度数は20度前後と通常のワインの10〜15度に対し5〜10度程も高く、保存性が非常に優れているため、ポートワインは栓を開けても通常のワインのように急激な風味の劣化が見られることはなく、またタンニンによらず長期保存が可能となります。
ポートワインのベースとなるワインは各地で生産されていますが、最終的に熟成する地域が指定されていて、そこで最低でも3年間は樽熟成されたものだけが、ポートもしくはポルトと名乗ることが許されています。ヴィンテージ・ポートのように長いものは樽の中で40〜50年と熟成を経て、色をより濃く、香りをより芳醇に、味わいをより複雑にさせてゆきます。
一般的に、赤のポートワインは食後酒、白のポートワインは食前酒として世界各地で愉しまれています。
ポートワインの醸造
ポートワインは14世紀中頃からポルトガル北部で生産が始まり、18世紀にはポルト港からイングランドに大量に輸出され、一躍有名になりました。
現在では、ポルトガル政府は同国北部を流れるドウロ川上流をポートワインの法定区域と定め、この地区で栽培された葡萄を原料とした酒精強化ワインのみにポートワインの商標を認定しています。
ポートワイン造りは、まず収穫したぶどうをラガーと呼ばれる発酵槽に入れることから始まります。
醗酵槽に入れてから2~3日後に77%のブランデーを加え樽(550l入りで、パイプという)熟成されます。この作業をベネフィシオと呼び、果汁とブランデーの比率は4対1。
年末に澱引きまたはアルコール調整が行われ、貯蔵庫で春まで保管した後、ポートワインの出荷地であるヴイラ・ノヴァ・デ・ガイアに運ばれて、原産地証明シールが樽に貼られます。
そして一定期間を経てから、ポートワインは初めてオポルト港から世界へと旅立つのです。
ポートワインの主な種類
ポートワインには様々なタイプがあり、黒ぶどう品種を原料に3年の樽熟成後出荷されるルビーポートや白ぶどう品種を原料に3年〜5年熟成させたホワイト・ポート、ルビーポートをさらに長い年月樽熟成させたトゥニー・ポート、そして葡萄の収穫年を記載したヴィンテージ・ポートがあります。